好きという感情に気づけたなら
だ、だ、大丈夫…!
仲のいい女の子どうしにみえるだけだ。
変に意識しなくても…。
「音弥はてれやなんだから、ほーらよ」
ぱっと離されて三桜は大きく深呼吸した。
苦しかったけど、それは息じゃなくて…!
つまり、心の方で!
なんとなく目線をあげると向こう側から来るあの人とまた目が合った。
ま…また!!
自然に自然に…と思いながらスーッと視線を逸らし、平然を装い歩く。
向こうから来る彼も何も気にしてないようだ。
「でね〜、水着はー」
隣では櫻が無邪気に話しているが今はそれどころじゃない。
ドキン、ドキン…
すれ違う瞬間、心臓が大きく音をたてた。
「秘密」
「……え」
な、に…それ。
「っと、音弥、どうしたの?」
三桜はまるで足が床とノリでくっついているんじゃないかと思うくらい、その場から動くことができなかった。