好きという感情に気づけたなら
ぎこちなく振り向く
けど、
彼はもう教室に入っていた。
な、なんで…秘密…って。
「ねぇ、音弥大丈夫?」
「えっ、ああ」
櫻の心配そうな声にハッとわれに帰った。
顔を戻すと、櫻の丸い目が少し細められている。
「ごめんね、大丈夫だよ」
「そ、お?ならいいけど…」
まだ不思議そうな顔をする櫻に笑いかけ再び歩き出した。
今日は妙に島野君と目が合うし…秘密って…どういう事…?
でも…でも、もしかしたら聞き間違いかもしれないよね?
きっとそうだ、と三桜は1人心の中で納得した。
「でさ!夏休みはいつ暇ー?」
櫻はもう気にしてないようでまた話題を戻してきた。
「まだわからないよ〜」
三桜も櫻と話すうちに十輝の事は頭からすっかり消えていた。