好きという感情に気づけたなら
「櫻〜!!まって!速いよー!」
「もー!音弥が遅いんだよーーっだ!」
えへへへへ〜と笑いながら自転車のペダルを高速で踏む櫻を三桜は必死で、同じように自転車に乗って追いかける。
海沿いのサイクリングロードを
衣替えして間もない半袖のセーラー服を着て爆走する女子高校生がこの世に何人いるんだろう。
今この瞬間、自分と櫻しかいないだろう。と三桜はペダルをこぎながら思った。
「あ、暑いよ!もう、無理!どっかでっ!休憩っしよっ!」
やっと櫻の横に並べた三桜は息も切れぎれに櫻に言った。
「んー、もーしかたないなぁ」
汗一つかいてないように見える櫻は息も切らさずちょっと拗ねたようにそう言う。
三桜はその横顔に、また少し見とれた。
少し茶色めの長い髪はウェーブがかかっていて、丸くて大きな瞳はロシア人のお母さんによく似てる。
鼻も、顔も小さくて…本当に人形のような容姿。
紺色のスカートからのぞく脚も白くてスラリとしている。
櫻は、この海沿いにある小さな町のアイドルだ。
私の自慢の親友、雨宮櫻(あまみや さくら)