好きという感情に気づけたなら





「…っひ、ひっ、…うっ…」



トイレに鍵をかけてしゃがみ、ギュッとスカートの裾を強く握りしめた。




どうしてこんな目に遭わなきゃいけないの?



どうして誰もたすけてくれないの?




…答えは分かってる。




友達がいないから。


ただそれだけの理由なのに、とても重大なことだった。




友達がいたらこんな目に合わなかったのかもしれない。


友達がいたらいじめられてもとめてくれたかもしれない。



全部…自分が悪いんだ。作ろうと努力しなかったから。



ギュッと目を硬くつぶり、涙をとめようとする。

しかし、止まる気配は一向になくとめどなくこぼれ落ちていく。






そんなときだった。



『どうして泣いているの?』





あの声を聞いたのは。



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