徒然なるままに
終わってゆく夏と始まる恋

明日も各地で猛暑となるでしょうとニュースは予報を流す。
セミが鳴いたかと思ったら近頃は亡骸をよく見かけるようになり、どんなに日差しが強くても夜7:00を過ぎると突然暗くなる。
始まりを告げていたはずの夏も終わりへ向かっていた。
当たり前に巡る季節の中で、人は出逢い、知らずに恋に落ちる。
好きだよ、大好きだよ、ずっと一緒だよ、綺麗だよ、可愛いよ。
そんな言葉を飽きるほど繰り返した。
そして今までの傷と不安の数だけ口づけを零した。
「キスはモルヒネの10倍なんだよ」
という彼女に。
まるで見つからない答えの中を必死にさまよいながら、幸せ探しをするように。
時に守りたい人ほど傷つけたりしながら。
言葉の安売りと言われてもいい、傷の舐め合いと言われてもいい、ただひたすらに真っ正直にいたいだけだった。
周りの目は冷ややかで、向けられる言葉はヒソヒソしていることが多い。
だからこそ、胸を張って言えることは恥ずかしげもなく惜しげもなく口にする、そう決めたのだ。
「今、俺が一番一緒にいたい人、一緒にいたら幸せなのは美月なんだ。一緒にいてくれる?」
負い目をどこかに感じている美月は、こういう時あまり多くを語らないけれど、俺を抱きしめ返すその腕の強さが、美月の一緒にいたい人を素直に伝えてくれているようだった。
そして今日も返ってくる、美月の。
「いいよっ。」
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