本音
「やっぱな…
夫婦はフェアな関係であるべきやん?
だからな、あんたに主治医から言われた事を伝えるのが筋やと思った。
だからな、主治医の先生にお願いしたん。
私に言った事を主人にも伝えて下さいって。
余命知った方が悔いないやん。
残された命を自分なりに生きる。
そういう時間を私は作ってあげたかったのにな…

残念やわ…
あんた嘆くばかりで塞ぎこんで自暴自棄になってな…
半年って言われた余命、半分しか生きれんかったやん…

惜しかったね…

まぁ、予想は出来たんやけどね…

プライドだけ高くて、中身が幼稚なおこちゃまやったしね…

だから、優しくなれたんよ。

だって、生きても半年ならな…

どんなに厭な男でも、妻でおった方が得やん。

先走って離婚せんで良かったわ…

グッドジョブ沙耶子さん!

って自分を褒めたわ。

あんたには…
ずっとけなされてきたからな…
自分で自分を褒めてやらんとな、
やりきれんかった!

ホンマにあんたは最低男や!」

沙耶子は飲み終わった缶ビールを手のひらで潰し、鋭い視線で遺影を睨んだ。

沙耶子の周りは缶ビールの空き缶が何個も転がる……
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