本音
「あ、そうや…
私な、知ってるんやで…
孝之さんの昔の女。

確か、立野香織さんやったな…
私との結婚が決まって、自殺未遂したんよね?
可哀想に…
お腹に孝之さんの子供がおったみたいやで…
ショックのあまり流産したらしいね…
そっから鬱になって、リストカットを繰り返したとか……

孝之さん、それでも知らん顔だったらしいやん?
酷い男やね。

人の人生、なんやと思ってんねん!

だからかね…

私らには子供が授からんかったのは……」


フッフッフフフフフ……

「ちゃう、ちゃう!」

沙耶子は笑いを堪えながら首を振る。

ハッハッと息を整えながら……

「もう、これも時効やね…
あんたも亡くなった事やし、
本当の事言うな。

私はあんたなんか愛してない!
だから、セックスするのさえイヤだった!
でも、拒むと思い切り罵られた。

『食わして貰って、拒否権なんてあると思うな!』って、あんたに怒鳴られたよね。
鬼の形相で睨みながら、服を脱がされた。

イヤだった…

あんたのモノなんか体に入れたくなかった!

吐き気を我慢していた。

あんたの子を宿すなんて…
考えたら鳥肌が立った。

だから、内緒で飲んでいたんよ…

ピル」
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