【短編小説】僕らの吊り橋冒険記
さて、僕がこの話を読者にしている間に、僕らはもう列車を降り、駅を出てエリの別荘に向かって歩いていた。






──駅を出て一時間後。

目的地に丁度ぴったり到着した。

エリの別荘は予想以上にデカかった。




「きゃ────────────────ーーーー」

別荘に来て五分も経たないうちに悲鳴が聞こえた。


「水鳥の声だッ」

僕は咄嗟に悲鳴が聞こえた裏庭の方まで駆けだしていた。見ると、手を血まみれにした水鳥澪の姿があった。

「大丈夫か?」

僕は声をかけた。すると、目に涙を溜めたまま水鳥は言った。

「く、国木田くぅ~ん。助けに来てくれたのぉ~?怖かったよォ~。」

「っ……」

完全にブリッ子モードだ。これだけ元気があれば平気だろう。──「はぁ」僕はため息をついた。一瞬でも目に涙を溜めた水鳥を『可愛い』などと思ってしまったことを後悔した。



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