Flower


でも、さすがに少しでも身元が分からなきゃ困るよね…



「何か持っているものありますか?」




がさごそ



「んー…と」


そう言うとポケットからカード入れを取り出してカードを出した。



それを私に渡してくれた。



混乱してるだろうに申し訳ないけど、身元がわからなきゃ捜索願も出せないし…



「んー…」



カードの記名などからすると…




「紫音、龍青さん?」



なんだかすごく…


「綺麗な名前。」



あっ…



いきなりそんな事言ったら変に思われるかな? 本人も覚えていないわけだし…



恐る恐る龍青さんの顔を見てみると微かではあるけれど微笑んでいる。



よかった。



でも、とりあえず名前はわかった、そして私と同い年ってことも。



「私はさっき言ったように佐倉千春と言って龍青さんと同じ16歳です。ここは私の家で、龍青さんはうちの前に倒れてたんです。何か心当たりありますか?」



少しでも覚えてることがあれば…と思ったんだけど。



「何か…うっ…」


「頭が痛むようなら無理に思い出そうとしないでください。」



記憶が戻るのを何かが邪魔してる…。



倒れる前に何かあったのは間違えないかな。

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