『ココロ彩る恋』を貴方と……
『うるさい!黙って!出て行って!』
視界には入れたくなくて、私のことを見もしないで怒鳴った。
つねったり叩いたりなんて日常茶飯事だった。
食事を作らず、パンやお菓子を気紛れに買ってくるだけの日々。
ゴミも捨てずにいたから、部屋にはカビや汚れが至る所にあった気がする。
臭いもくさくてやれなかった。
あの頃の記憶があるから、私は掃除だけは完璧にする。
濁ったままの空気が漂う部屋に居てはいい事なんて起こらない。
綺麗で澄んだ空気のある部屋に居たら、それだけで気持ちが休まる。
(今、この部屋の中は空気が澄んでいて気持ちがいい……)
初めて入った時とは違う雰囲気を感じ、トロトロ…と眠りかけていた。
「……だから、卵を落とした方がいいって!」
いきなり聞こえた女性の声に気づいて目が覚めた。
どうやらドアの向こうから誰かがやって来るみたい。
スリッパをパタつかせて歩く足音と床を引き摺るように歩く音の二種類が聞こえる。
「色が混ざると気持ちが悪いんだ」
「それは貴方だけでしょう!」
言い合いをしている。
交わしている内容から一人は単色志向の彼だとわかる。でも、もう一人は……?
ガチャとドアレバーの下がる音がして目を向けた。
隙間から現れたのはやはり兵藤さんで、手にトレイを抱えていた。
視界には入れたくなくて、私のことを見もしないで怒鳴った。
つねったり叩いたりなんて日常茶飯事だった。
食事を作らず、パンやお菓子を気紛れに買ってくるだけの日々。
ゴミも捨てずにいたから、部屋にはカビや汚れが至る所にあった気がする。
臭いもくさくてやれなかった。
あの頃の記憶があるから、私は掃除だけは完璧にする。
濁ったままの空気が漂う部屋に居てはいい事なんて起こらない。
綺麗で澄んだ空気のある部屋に居たら、それだけで気持ちが休まる。
(今、この部屋の中は空気が澄んでいて気持ちがいい……)
初めて入った時とは違う雰囲気を感じ、トロトロ…と眠りかけていた。
「……だから、卵を落とした方がいいって!」
いきなり聞こえた女性の声に気づいて目が覚めた。
どうやらドアの向こうから誰かがやって来るみたい。
スリッパをパタつかせて歩く足音と床を引き摺るように歩く音の二種類が聞こえる。
「色が混ざると気持ちが悪いんだ」
「それは貴方だけでしょう!」
言い合いをしている。
交わしている内容から一人は単色志向の彼だとわかる。でも、もう一人は……?
ガチャとドアレバーの下がる音がして目を向けた。
隙間から現れたのはやはり兵藤さんで、手にトレイを抱えていた。