『ココロ彩る恋』を貴方と……
「彩さんの目が見えなくなり始めたのは幼い頃からだったそうよ。最初は右目が視力を失い、左目に症状が出始めたのは中学生になってからだと聞いているわ」
「……あの、どうして河井さんがそれを知ってるんですか?」
単なる広報部長にしては詳し過ぎる。版画家の家族構成や事故のことまで、何かで調べたりしたんだろうか。
「私の母は昂さんのお母さんと姉妹なの。つまり、いとこ同士なのよ。私達」
河井さんは兵藤さんよりも3歳年上だと教えてくれた。
「昂さんのお母さんと彩さんのお父さんは仕事上の関係で知り合ってね。…二人は今、海外で生活しているの」
妹の彩さんの骨は菩提寺に預けてあり、仏壇は実家に置いてあるらしい。
「実家は古い家の造りで段差も多くて危険だから…って、昂さんは彩さんと生活する上で不便のないようこの家を建てたの。…だから何処もバリアフリー仕様でしょう?」
「そういえば…」
確かにそうだ。玄関の上り口もスロープだし、廊下には手すりが付けられてある。
「壁紙が部屋ごとに違うのもそのせいですか?」
「…そうね。目が見えなくなっても何処の部屋に居るかがわかるようにしていたんだと思うわ」
それは知らなかったわ…と呟く声を聞き、壁を拭いたことが無い人に気づける訳ないか…と思った。
「……あの、どうして河井さんがそれを知ってるんですか?」
単なる広報部長にしては詳し過ぎる。版画家の家族構成や事故のことまで、何かで調べたりしたんだろうか。
「私の母は昂さんのお母さんと姉妹なの。つまり、いとこ同士なのよ。私達」
河井さんは兵藤さんよりも3歳年上だと教えてくれた。
「昂さんのお母さんと彩さんのお父さんは仕事上の関係で知り合ってね。…二人は今、海外で生活しているの」
妹の彩さんの骨は菩提寺に預けてあり、仏壇は実家に置いてあるらしい。
「実家は古い家の造りで段差も多くて危険だから…って、昂さんは彩さんと生活する上で不便のないようこの家を建てたの。…だから何処もバリアフリー仕様でしょう?」
「そういえば…」
確かにそうだ。玄関の上り口もスロープだし、廊下には手すりが付けられてある。
「壁紙が部屋ごとに違うのもそのせいですか?」
「…そうね。目が見えなくなっても何処の部屋に居るかがわかるようにしていたんだと思うわ」
それは知らなかったわ…と呟く声を聞き、壁を拭いたことが無い人に気づける訳ないか…と思った。