『ココロ彩る恋』を貴方と……
これからもどうか元気でいて下さい。拙い食事を食べさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした。

そのくせ食前の挨拶をしてと頼んだり、好きな様に障子を張り替えさせてくれてありがとうございました。


モデルのことも嫌いだと言ってすみません。

あれは単なる私の嫉妬にしか過ぎないんです。


……実際は貴方の作品には見惚れてばかりいました。

綺麗な下絵も、それを覆い尽くす様な暗い色合いも、見事だと思っていました。

芸術家としても人間としてもハイレベルな兵藤さんに会えたことを何よりも一番素敵な思い出として、これからも頑張っていきます。


だから、どうか貴方も描き続けて。

頭の隅っこでいいから、私のことも残しておいて欲しい……。




「お世話に……なりました………」



頭を下げたままでお別れを言った。


ドアの向こうへと行った人に、二度とこの声が届くことはないーーーー。





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