『ココロ彩る恋』を貴方と……
紐解かれていくあの日
個展が始まってから久し振りに取った休日の朝、いつも以上に遅く起きてしまった。
ぼぅっとしたまま顔を洗い、家政婦の女性を探す。
廊下の途中でコソコソ…と動く物音が聞こえ、和室の襖を開けた。
「…あらっ、おはようございます」
振り向いた女性は、フワフワな天然パーマの彼女ではない。
「……あの…貴女は?」
三角巾を頭に被り、両端をズレないようにピンで留めている中年の女性は、手にしていた雑巾を離して立ち上がった。
「初めまして。私、森元家政婦協会から派遣されて参りました、森元千絵子(もりもと ちえこ)と申します。本日より満仲に代わり、こちらの家事を務めさせていただきますので、よろしくお願い致しします」
人の良さそうな目が垂れた。薄っぺらい唇がシャキシャキとものを言う。
「代わり…って、交代とか聞いてないんですけど」
寝耳に水のことに驚き、困惑を隠しきれず口にした。
「えっ、聞いてないんですか!?紫音ちゃんは昨日が最後で、今日からは私が担当することになってたんですけど…」
「はっ?何も知らないですよ!?」
聞いてもない事実に目を丸くする俺を眺め、女性の表情が曇った。
「紫音ちゃんが何も言わないなんておかしいわ。これまでは絶対に雇い主さんには話を通していたのに……」
疑うような眼差しを向け、「何かあったんでしょうか?」と聞く。
ぼぅっとしたまま顔を洗い、家政婦の女性を探す。
廊下の途中でコソコソ…と動く物音が聞こえ、和室の襖を開けた。
「…あらっ、おはようございます」
振り向いた女性は、フワフワな天然パーマの彼女ではない。
「……あの…貴女は?」
三角巾を頭に被り、両端をズレないようにピンで留めている中年の女性は、手にしていた雑巾を離して立ち上がった。
「初めまして。私、森元家政婦協会から派遣されて参りました、森元千絵子(もりもと ちえこ)と申します。本日より満仲に代わり、こちらの家事を務めさせていただきますので、よろしくお願い致しします」
人の良さそうな目が垂れた。薄っぺらい唇がシャキシャキとものを言う。
「代わり…って、交代とか聞いてないんですけど」
寝耳に水のことに驚き、困惑を隠しきれず口にした。
「えっ、聞いてないんですか!?紫音ちゃんは昨日が最後で、今日からは私が担当することになってたんですけど…」
「はっ?何も知らないですよ!?」
聞いてもない事実に目を丸くする俺を眺め、女性の表情が曇った。
「紫音ちゃんが何も言わないなんておかしいわ。これまでは絶対に雇い主さんには話を通していたのに……」
疑うような眼差しを向け、「何かあったんでしょうか?」と聞く。