『ココロ彩る恋』を貴方と……
「何か勘違いをされてませんか？満仲さんは何も差し出がましいことなど言ってませんよ」


まるでそれを言ったが為に、こっちの不機嫌を買ったような言い方をする。


「満仲さんは良くやってくれていました。働き者で、こっちは随分と暮らし易かった」


「えっ…そうなんですか！？」


女性が驚くような声で聞き返してくる。


「差し出がましいことなんて言わなかったです。全部、当たり前のことしか言ってませんよ。

おかげで俺がどれだけ偏った生活をしていたかを思い出したし、随分と世話にもなっていました」


我が儘も聞いてもらっていた。それに弱りながらも、彼女は懸命に付き合ってくれていた。


「だったらどうして代わりたいなんて言ってきたのかしら。私はてっきりまた怒鳴られるようなことでも仕出かしたのかと思い込んでたのに……」


「怒鳴られる？満仲さんが？」


「ええ。あの子、掃除をやり始めると他のことが疎かになってしまうところがあって、雇い主さんにとってはそれが目に余る方もいらっしゃっるんです。

本気ではないのでしょうけど、嫌味を言われたり怒られたりすることが何度か起こって、その度に紫音ちゃん、「怖い…」と言って通えなくなってしまったことがあるんです……」


まるで子供のようだと一瞬だけ思った。
唖然としていると、女性は溜息を吐きながら教えてくれた。


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