『ココロ彩る恋』を貴方と……
『私の目が霞んでるのは本当だからいいけど、自分で自分の作品を貶さないでっ!』


身体中を震わせたまま涙ぐんだ。鼻水を吸いながら、息を吸って続けた。


『私と違って何でも見えているのに甘え過ぎ!アキラ君の目は、彩りのある世界が見えているのに、それだけでも幸せなことなのに、その色を出さないでどうするの!?

私の視界なんて暗いんだよ!?色だってハッキリしないし、全部を一度にだって見れない!

それでも、光があるからまだマシ。何も見えなくなったら私は……どうすればいいかもわからないで生きているのにっ!!』


初めてのような声を上げた。

いつも笑って賑やかにしている彩とは、比べ物にならないくらいの迫力があった。


『アキラ君には才能だってあるじゃん!目だって見えるし、怖い思いもしなくても済む!

掘りたいと思うものを掘ればいいよ!誰にも負けないくらい、素敵な世界を掘って見せてよ!

私にも見えるくらいハッキリとした色合いで表現してよ!

この絵はお兄さんが描いたんだ…って、皆に自慢できるようなものを作って!


私の目の代わりに表現してっ!

アキラ君ならできるからっ!!』



叫ぶような感じだった。

言った後は、涙が次から次に溢れていた……。




『……バカ……自惚れんじゃないよ……』


グスグスと泣きながら呟いた。

初めて見せる涙に、言い返す言葉が見つからなかった……。


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