『ココロ彩る恋』を貴方と……
わなわなと震えていた。彩とは違う人だと思いながらも何処か折り重ねて見ていた……。


(……見抜かれてたなんて、な……)


急いで作業室の奥に逃げる背中を止めたけれど、「私じゃないのに止めないで!」と諭された。

怒らせた彼女を目にして、失うのが怖いと感じた。


何もかもが、あの時の恐怖と繋がっていった……。



(だから焦ったんだ……)


目の前で彼女が倒れて、それがあの日の悪夢と重なった。



『…満仲さんっ!』


起こしてもぐったりとしている。

さっきはぼんやりとした意識の中で、一瞬だけ温もりを感じていたのに……。



『満仲さんっ!満仲さんっ!!』


焦って河井さんに電話を掛けた。

俺の個展は全て彼女が采配している。何か困った事が起きたら、すぐに掛けてきてもいいと言われていた。


『とにかく来てくれ!急いで!!』


血相変えて叫ぶ俺の所に来た河井爽香は、気が抜けたようにしゃがみ込んだ。


『……これは熱があるのよ。ほら額を触ってみて、熱いでしょう?』


抱き上げている彼女の額に手を置いた。

指先から熱が伝わり、確かに生きている…と実感したーー。



『…良かった……』


涙ぐんで笑われた。

彩と間違えたのかと聞かれ、頷く以外の術がなかった。


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