『ココロ彩る恋』を貴方と……
闇の中から
『そのクルクル頭を見るとゾッとする!あの男に似た顔で私の前に現れないで!!』
天然パーマは父親譲りだった。
母は私の顔が父に似ていることも気に入らなくて、腹いせのように髪を短く切ったり頬を抓ったりした。
幼い私は母に対して無抵抗だった。寒さと飢えで気力も体力も限界の状態だった。
泣く力も出せずに踞った。
手足が冷えて感覚も無くなった頃に、隣のおばさんから発見された。
『ーー紫音ちゃんっ!!』
霞んでいく記憶の中で聞いた声は、正しく神様のものだったのかもしれないーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ガタガタと震えながら歩いていると過去の蓋が緩む。
思い出したくもない過去と現在を重ねて、私は自分の行動を呪っていた。
(あの振り上げた足で、一体何をしようとしたの……)
母と同じようなことを雇い主のお婆ちゃんにしようとしたのか。
腰が痛くて動けない人をこの足で蹴ろうとしたのか……。
(なんて恐ろしいことを……逆上したからって、あんな態度をとらなくても良かったのに……)
家事をしに行くだけの家政婦なのに、要らないお世話までしたりするからだ。
(どうしよう。所長さんになんて言ってお詫びをすればいい……?)
あの協会ではもう働けない。
信用を潰してしまった今、あそこへも顔を出しづらい。
知らん顔をしておきたい。何もかも捨てて逃げ出したいーーー。
天然パーマは父親譲りだった。
母は私の顔が父に似ていることも気に入らなくて、腹いせのように髪を短く切ったり頬を抓ったりした。
幼い私は母に対して無抵抗だった。寒さと飢えで気力も体力も限界の状態だった。
泣く力も出せずに踞った。
手足が冷えて感覚も無くなった頃に、隣のおばさんから発見された。
『ーー紫音ちゃんっ!!』
霞んでいく記憶の中で聞いた声は、正しく神様のものだったのかもしれないーーーー
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ガタガタと震えながら歩いていると過去の蓋が緩む。
思い出したくもない過去と現在を重ねて、私は自分の行動を呪っていた。
(あの振り上げた足で、一体何をしようとしたの……)
母と同じようなことを雇い主のお婆ちゃんにしようとしたのか。
腰が痛くて動けない人をこの足で蹴ろうとしたのか……。
(なんて恐ろしいことを……逆上したからって、あんな態度をとらなくても良かったのに……)
家事をしに行くだけの家政婦なのに、要らないお世話までしたりするからだ。
(どうしよう。所長さんになんて言ってお詫びをすればいい……?)
あの協会ではもう働けない。
信用を潰してしまった今、あそこへも顔を出しづらい。
知らん顔をしておきたい。何もかも捨てて逃げ出したいーーー。