『ココロ彩る恋』を貴方と……
「それは?」


脇に抱えていたアルバムを指差した。


「あ…これは私の大切なもので。だから、いいです。自分で持ちま…」


す…も言わさず取り上げてしまった。
ポケットアルバムの中を開いて、疑うような目で見ている。


(あ〜〜もう〜〜)


見られたくなかった。だからこそ自分で持って行こうとしたのに。


「……少し聞くけど」


ペラペラとページを捲る人が声をかけてきた。


「はい…」


質問の内容がわかり、不機嫌そうに返事する。


「ひょっとしてと思うけど、このポッチャリした子が君?」


写真を向けられ、指を差された。
恰幅のいい祖父と並んで写っている子供は、天然パーマの髪の毛をしている。


「………間違いなく、私です……」


くっそー。こんなの認めたくない事実だ。


「へぇー。こんな感じだったんだーー」


「兵藤さん、それ返して下さいっ!」


背伸びをして引き取るように取り返した。


「ごめん、なんか今の姿とは違い過ぎて」


頬が緩みだしてる。


「当然です!祖父の作ってくれてた物はどれも美味しくて、つい食べ過ぎてしまってたから!」


餓死寸前だった私にとって、祖父の料理はどれもご馳走だった。

食べ残したりすることはできなくて、出された物は全部食べようと心がけていた。


食べなければいけないような気がしていた。それで、つい食べ過ぎていた。


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