『ココロ彩る恋』を貴方と……
エンゲージリングはこれを
閉じていた瞼を開けたら潤んだ瞳の彼と目が合った。
間近で見つめる人の目は、思っているよりも野生的で鋭い感じがする。
「…いい?」
そう聞かれて思わずドキッと胸が震える。
そんな簡単に了承できるほど、経験も何も持ち合わせていない。
「ごめんなさい。今日はちょっと……」
断り方がわからず言葉を濁す。何かを勘違いした様な彼は、残念そうに肩を落とした。
「そうか…」
シュンとするその表情に胸が疼く。
何もかも曝け出してしまうには、何も知らなさ過ぎると思った。
「今夜はお互いのことを話しませんか?私も兵藤さんのことがいろいろと聞きたいです」
体を起こしながら願ってみると、背中に腕を回していた人が仕様がなさそうに手伝ってくれる。
「いいよ。じゃあ今夜は語り明かそう」
大人らしい態度をとらなければいけないと思っているらしく、それでも腕は離れていかない。
なるべく明るい雰囲気で話そうと思い、自分から切り出してみた。
「版画を始めたのはいつから?」
コーヒーのカップを手渡しながら聞いた。
「美大に通いだして2年生の夏に興味が湧いてやり始めた。木版も石版もゴム版も彫ったけど、中でも木が一番面白かった」
「面白いの?」
「面白いよ。木によって硬さが違うし、インクの染み込み方も違う」
間近で見つめる人の目は、思っているよりも野生的で鋭い感じがする。
「…いい?」
そう聞かれて思わずドキッと胸が震える。
そんな簡単に了承できるほど、経験も何も持ち合わせていない。
「ごめんなさい。今日はちょっと……」
断り方がわからず言葉を濁す。何かを勘違いした様な彼は、残念そうに肩を落とした。
「そうか…」
シュンとするその表情に胸が疼く。
何もかも曝け出してしまうには、何も知らなさ過ぎると思った。
「今夜はお互いのことを話しませんか?私も兵藤さんのことがいろいろと聞きたいです」
体を起こしながら願ってみると、背中に腕を回していた人が仕様がなさそうに手伝ってくれる。
「いいよ。じゃあ今夜は語り明かそう」
大人らしい態度をとらなければいけないと思っているらしく、それでも腕は離れていかない。
なるべく明るい雰囲気で話そうと思い、自分から切り出してみた。
「版画を始めたのはいつから?」
コーヒーのカップを手渡しながら聞いた。
「美大に通いだして2年生の夏に興味が湧いてやり始めた。木版も石版もゴム版も彫ったけど、中でも木が一番面白かった」
「面白いの?」
「面白いよ。木によって硬さが違うし、インクの染み込み方も違う」