『ココロ彩る恋』を貴方と……
パンツを見ながら恥ずかしがってる私を見て、先輩家政婦さんは笑った。
『ウブで可愛いわ〜』と言われる度に、自分の過去を呪ったものだ。


「…けど、それも今や過去になったよね〜〜」


脱水の済んだパンツを取り出しながら呟く。
雨の日なら干せないけど、今日は天気がいいから外に干しに行こう。

中庭に作られた物干し台に洗濯した衣類を掛けていく。
革命児が普段着ている作務衣は厄介な代物で、麻生地で出来ているからシワをよく伸ばしておかないといけない。


「やっぱりこのシミって取れないんだ」


袖口に付いてる黒い色。版画の塗料らしく、大抵どの上着にもくっ付いている。


「手揉み洗いしても取れなかったもんなぁ」


一体何の塗料を使ってるんだろう…と思いながら干していると、いつもよりも早く兵藤さんが起きだしてきた。


(あ……始まった)


籐椅子に座ったままの日光浴。
この中庭が見渡せる場所に置かれた藤椅子の上で、彼はいつも何を考えているんだろうか。


(聞いてみようかな)


そろそろと近づいてみると、眼差しは昨日と同じように薄いブルーに見えている。



(本当に綺麗な目だなぁ)


まるで幼い子供のように潤ってて透明感のある瞳。
その目に映るよう近づいたけれど、彼の眼差しは私に気づいてる様子もなくて……。


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