『ココロ彩る恋』を貴方と……
「きっとあの時から変わっていったと思うんだよ。心の闇が開けて、光が差し込んできた気がする。

俺の心を彩らせてくれたのは君だ。だからこそ、こうして明るい色が描けるようになったーー」


兵藤さんの言葉を聞いて胸が熱くなってしまった。

小さな行動が、彼の心を開かせた……。



「私……」


なんて了見が狭かったんだろう。
彼はこんなにも素敵な贈り物を考えてくれたのに、自分で自分の作った料理を否定してしまうなんて……。


「ついでにもう一つ贈りたい物があったんだけど……」


躊躇うようにポケットの中から取り出された小箱を見つめる。

白い立方体の箱の中身を見せられて、赤いビロードの生地が張られたハート型のケースを取り出された。


「この中に贈りたい物があるんだけど、残念ながらサイズが分からなくて」


空の容器を見せて笑う。

その彼に笑顔を返そうとした。けどーーー



「紫音…?」


覗き込む人の目が心配そうだった。

不意に泣き出してしまった私に対して、オロオロと表情を変える。


「ごめんなさい…」


絵といい指輪のケースといい…いつから準備してたんだろうか……。


「私……今朝までクリスマスのことを忘れていて……何も思いつかなくて、大慌てで料理とプレゼントにもならない代物を作ったの。

それなのに兵藤さんは料理を褒めてばかりでショックだった……大した物も贈れない自分が情けなくて、貶して欲しくなったの……」


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