『ココロ彩る恋』を貴方と……
触れられなかった理由は料理の下手さにあるんだと思いたかったのかもしれない。
自己否定をしたくなくて、祖父との思い出を貶し材料にしたんだ。
「恥ずかしい、私……こんなふうに笑えない……」
ぎゅっと額縁を抱きしめた。
今の自分とはギャップがあり過ぎている。
彼の目に映る自分が、いつもこうだとは限らない。
「そんなことないよ。さっき俺の部屋にいた時の君は、いい顔して笑ってた」
薄目を開けて見ていたと話す。
涙ぐむ自分の顔が彼の目に映っている。
その眼差しを受け止めながら、鼻を吸って彼に箱を差し出した。
「これ…兵藤さんの欲しがってた物……」
ごめんなさい…と言って手離すと、彼の指がリボンを解いていく。
10センチ四方の箱の蓋を開け、中身を見て私の方を振り返った。
「それ、ホウ酸団子。兵藤さんゴキブリが嫌いだと言ってたでしょう。急だから何を買えばいいのか思い浮かばなくて、これなら間違いなく喜ばれるだろうと思ったの。でも……」
初めてのクリスマスイブに駆虫剤の団子はなかった。
あんぐりと口を開けている人を見て、やっぱり格差が埋まらない…と思う。
「ごめんなさい……」
情けなくて仕様がなくて謝った。
何も言えない様子の彼を前に、ますます気持ちは沈んでいく。
(ああ…もう駄目。絶対に嫌われた…)
自己否定をしたくなくて、祖父との思い出を貶し材料にしたんだ。
「恥ずかしい、私……こんなふうに笑えない……」
ぎゅっと額縁を抱きしめた。
今の自分とはギャップがあり過ぎている。
彼の目に映る自分が、いつもこうだとは限らない。
「そんなことないよ。さっき俺の部屋にいた時の君は、いい顔して笑ってた」
薄目を開けて見ていたと話す。
涙ぐむ自分の顔が彼の目に映っている。
その眼差しを受け止めながら、鼻を吸って彼に箱を差し出した。
「これ…兵藤さんの欲しがってた物……」
ごめんなさい…と言って手離すと、彼の指がリボンを解いていく。
10センチ四方の箱の蓋を開け、中身を見て私の方を振り返った。
「それ、ホウ酸団子。兵藤さんゴキブリが嫌いだと言ってたでしょう。急だから何を買えばいいのか思い浮かばなくて、これなら間違いなく喜ばれるだろうと思ったの。でも……」
初めてのクリスマスイブに駆虫剤の団子はなかった。
あんぐりと口を開けている人を見て、やっぱり格差が埋まらない…と思う。
「ごめんなさい……」
情けなくて仕様がなくて謝った。
何も言えない様子の彼を前に、ますます気持ちは沈んでいく。
(ああ…もう駄目。絶対に嫌われた…)