『ココロ彩る恋』を貴方と……
今の所ここに通ってくるのは私だけのようだし、年齢のわりにぼぅっとしている兵藤さんには適度な刺激がいるんじゃないだろうか。
「触れ合いが増えれば、少しは視界に留めてもらえるのかもしれないね」
潤った瞳のことを思った。
あの綺麗な目の中に映る自分を想像すると、きゅん…と胸の奥が鳴る。
「いいよね……あの目……」
ぽつりと声を漏らしてしまった。
自分の感情がダダ漏れたような気がして、後は無言で掃除を続ける。
夕方5時になり、夕飯の支度をせずに済んだ私は、勝手口の扉に鍵を掛けて退勤する。
「明日もよろしくお願いします」
扉に向かって頭を下げてから、外へ通じる道を歩きだす。
「……あ……金木犀の香り……」
庭先にある大きな樹を見た。
オレンジ色の小さな花がびっしりと咲き誇っているのを見つけ、側へと近づいてみると。
「.……不思議だなぁ」
この樹はまるで兵藤さんと同じだ。
近づくと匂わない。けれど、離れると匂いに気づく。
不思議なところが芸術家の彼に似ている。
この花と同じように、彼にも一線を置いてから接した方がいいんだろうか。
「そうだよね。雇い主さんだもん」
昼間は刺激を与えてやろうかなんて思ったけど、私はプロの家政婦として単にこの家に通っているだけ。
契約が切れればサヨナラで、二度と会うこともない人間なんだから。
「触れ合いが増えれば、少しは視界に留めてもらえるのかもしれないね」
潤った瞳のことを思った。
あの綺麗な目の中に映る自分を想像すると、きゅん…と胸の奥が鳴る。
「いいよね……あの目……」
ぽつりと声を漏らしてしまった。
自分の感情がダダ漏れたような気がして、後は無言で掃除を続ける。
夕方5時になり、夕飯の支度をせずに済んだ私は、勝手口の扉に鍵を掛けて退勤する。
「明日もよろしくお願いします」
扉に向かって頭を下げてから、外へ通じる道を歩きだす。
「……あ……金木犀の香り……」
庭先にある大きな樹を見た。
オレンジ色の小さな花がびっしりと咲き誇っているのを見つけ、側へと近づいてみると。
「.……不思議だなぁ」
この樹はまるで兵藤さんと同じだ。
近づくと匂わない。けれど、離れると匂いに気づく。
不思議なところが芸術家の彼に似ている。
この花と同じように、彼にも一線を置いてから接した方がいいんだろうか。
「そうだよね。雇い主さんだもん」
昼間は刺激を与えてやろうかなんて思ったけど、私はプロの家政婦として単にこの家に通っているだけ。
契約が切れればサヨナラで、二度と会うこともない人間なんだから。