『ココロ彩る恋』を貴方と……
思うが早いか、押し付けれてきたのは唇。
しかも、あろう事か首筋に吸いよってきた。


「ちょ…ちょっと……」


幾ら何でもそれってあんまり度が過ぎる。

本当に寝ボケてやってる?
それともこれって故意なの?


「ひょ…兵藤さんっ!!」


ジタバタと暴れるわたしに構う気配も見せず、彼は何度か首筋に吸いよった後でこう言った。


「……さやか」


ギクッとして直ぐに彼を突き飛ばした。
その反動で意識を戻した彼が、ブルブルと震えている私を目で捉える。



「…あれ?」


あれじゃない〜〜っ!!!


「な…何すんですか!!一度ならず二度までも!!」

「…へっ?」

「へっじゃないですよ!本当に!!」


有名人だからって何をしても許される訳じゃないのよ?
雇い主だからって、家政婦を好きにしていいことなんてないんだから!

ビックリしたのと同時に男性に首筋チューをされたのが初めてでパニックになりそうだった。
ドキドキと鳴り続けている心臓を隠すようにしながら彼のことを睨み付ける。


「俺……もしかしてまた何かした?」


何かしたってレベルじゃないよ。
明らかに犯罪行為だと言われてもおかしくないことしている。


「だったら悪い。飲み過ぎた」


そんなことで許されるもんか。
キスは愚か、男性経験だってない私の首筋にチューをしといて。


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