『ココロ彩る恋』を貴方と……
ヤバいくらいに理想に近い人っているんだ。


「満仲さんの方こそ、俺に言ったことを気にしなくてもいいよ。じゃあ」


ちらっと目線を流して逃げる。

私はその流された目線が自分から去っていくのを感じて、ぎゅぅっと更にエプロンを握りしめた。

ラブバトルの始まりにしては甘過ぎる彼の態度に、完全に心が奪われていく。



「やっぱり好きになってるみたい……」


口にすると、想いが急に加速する。

芸術家で非凡な才能を持つハイレベルな兵藤さんの目に、家政婦としてではなく、一人の女性として映ってみたいと思う。


「でも、どうやれば映れる?」


昼間は同じ家の中にいて、話そうと思えば幾らでも話ができる相手だけど。


「こんな遠くに感じる人って初めてだ……」


出て行ったドアを見ながら思った。

彼に追い付いていきたい。
彼のことをもっとよく知りたい……って。



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