『ココロ彩る恋』を貴方と……
「……いいですよ。どうぞ」


アッサリと了解を得たのはいいけれど、希望があることを伝えていない。


「紙の色なんですけど指定とか無ければ、私の好きな様に貼らせて貰ってもいいでしょうか」


子供の頃に住んでいた家のことを考えていた。

色取り取りの和紙が貼られた障子に日が射すと、一枚の絵のように見えていた戸のこと……。


「別にどんな風に貼っても構わないよ。満仲さんの良いように貼って下さい」


どこまでも無興味なんだ。


「じゃあ後で和紙を買いに行ってきます」

(つまらない…)


興味を持たれないのは仕方ないにしても、もう少しリアクションがあってもいいのに。


(そんなの期待するだけ無理な話か)


やっと食事の挨拶をしてくれるようになった人に、過度な期待を寄せてはいけない。

黙々と食べている姿を見つめて小さく息を吐く。

この人の瞳が私に向けられるのは、一瞬のことであってすぐに伏せられてしまう。


(もっといろいろ話してみたいのにな…)


食事をするのって、こんなにも寂しいものだったっけ。
誰かが傍に居てくれる時は、もう少し明るい気分で食べていたようにも思うけど……。


蓋をしている過去を開けそうになる時、いつも側に誰かの気配を感じる。


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