『ココロ彩る恋』を貴方と……
「観察しないでください」
自分は版画を作っているところを見せれないと言ったくせに。
「ごめんごめん」
笑いながら立ち上がった。
「ゆっくりやったらいいよ。貼り替えは明日でもいいから」
そう言って仕事部屋を出ようとする。
「あの、兵藤さん!?」
私を置いて逃げてもいいの!?
「ん?」
「このまま作業続けてもいいんですか!?」
だって、作りかけの作品だってあるんでしょう?
「いいよ。ごゆっくり」
それだけ言うと逃げてしまった。
やはり私には興味なんてないらしく、指の動きだけ見たら満足だったようだ。
「凹むな〜〜」
どうにも不理解な芸術家だ。
家政婦とは言え私だって女性の端くれなのに、見ているのはぎこちない動きをする指先だけだなんて。
ガッカリと肩を落として紙を巻き続けること2時間後、ようやく紙の山が無くってきて、床板が見えるようになってきた。
「やっとだ〜〜」
手を動かすのを止める。
兵藤さんの言う通り私の指には何らかのクセがあるらしく、使いまくった人差し指と中指には、軽い痺れみたいなものが残っている。
「動きにくいなぁ」
カクンカクンと曲がる節を見て呟く。
紙を使ってもいいと言った本人は私を置き去りにして出て行った後、何処で何をしているんだろうか。
自分は版画を作っているところを見せれないと言ったくせに。
「ごめんごめん」
笑いながら立ち上がった。
「ゆっくりやったらいいよ。貼り替えは明日でもいいから」
そう言って仕事部屋を出ようとする。
「あの、兵藤さん!?」
私を置いて逃げてもいいの!?
「ん?」
「このまま作業続けてもいいんですか!?」
だって、作りかけの作品だってあるんでしょう?
「いいよ。ごゆっくり」
それだけ言うと逃げてしまった。
やはり私には興味なんてないらしく、指の動きだけ見たら満足だったようだ。
「凹むな〜〜」
どうにも不理解な芸術家だ。
家政婦とは言え私だって女性の端くれなのに、見ているのはぎこちない動きをする指先だけだなんて。
ガッカリと肩を落として紙を巻き続けること2時間後、ようやく紙の山が無くってきて、床板が見えるようになってきた。
「やっとだ〜〜」
手を動かすのを止める。
兵藤さんの言う通り私の指には何らかのクセがあるらしく、使いまくった人差し指と中指には、軽い痺れみたいなものが残っている。
「動きにくいなぁ」
カクンカクンと曲がる節を見て呟く。
紙を使ってもいいと言った本人は私を置き去りにして出て行った後、何処で何をしているんだろうか。