『ココロ彩る恋』を貴方と……
「海みたいな色だからシーブルーってところ?」


そんな色の名前があるのかも知らない。


「本当に綺麗な色だな〜〜」


ずーっと見ていたら、兵藤さんの目と錯覚しそうになるくらい似ている。


(あの目に映りたいなぁ)


そう思っていた私には、後ろから近寄る人の気配に気づけてないものがあったらしくーー。



「満仲さん?」


ドキーン!と心臓が飛び出しそうになるくらい驚いてしまった。


「ひぃっ!」


大げさに驚いて振り返ると、私の声に驚いている人と目が合って……


「も、もう…」


お化けじゃないけど驚く〜〜!!


「ひょ、兵藤さん…」


お願いだから背後から驚かすのは止してぇ〜〜。


力が抜けて腰が砕けそうになった。
よろっと上体の傾く私の腕を捕まえて、彼が間近で笑う。


「すみません」


その顔は済まないと思っている人の顔じゃない。

「はぁ〜」と息を吐いて体勢を立て直せば、直ぐに腕は解放されてしまう。

胸は軋む音を立てているけど、恋人じゃない時点で当たり前の行為だと思う。


「何を見てた?」


背後に目を向けながら聞いた。


「あ…この絵の色を。綺麗なブルーだと思って」


自分の後ろを振り返って見つめる。

白くて薄い紙の上に広がる大小様々な水玉模様の中で、私が見ているのはさっきのシーブルーの色だけだ。


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