『ココロ彩る恋』を貴方と……
翌日もブルーの水玉模様の紙は置かれたままになっていた。

特に手が加えられた感じもなく、あのシーブルー色の部分だけを見つめる。


(本当に似てる…)


兵藤さんの目を思い出していた。


(あの目にきちんと認識されるにはどうしたらいいだろうか……)


頬や首筋にキスをされたり、胸を鷲掴まれたりしているから、ある程度は女性だと思ってもらえているんじゃないだろうかとは思うけど。


(その割には何も起こらないよね)


起こしたら許しませんよと言い渡したのがいけなかった。
あの時は驚きよりも悔しさの方が増していたから、ついあんな風に言ってしまった。


(昨日以上のことが、今日起きたらどうする?)


それってどんなことだと思いながら体育館倉庫のような部屋の床に座り込む。

手当たり次第に置かれてある紙を巻いては輪ゴムで止め、ダンボール箱の中に放る。

白だけでなく色の付いた紙を見つめながら、昨日と同じように育った家のことを思い出したーー。


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