『ココロ彩る恋』を貴方と……
「もう淹れてきてたんだ」
単色志向の兵藤さんのカップにはいつも最初から何も付けない。
濃いめのコーヒーを希望するのはいつものことで、いっそのこと炭焼きコーヒーでも飲んでなよ…と、最初の頃は思っていた。
「うん、美味い」
そうは思っても、その言葉を聞くと嬉しくなる。
口元を緩めながら安心して、トレイを抱き抱えるようにして部屋を出た。
ドアを閉めた後のことは気になった。けど、仕事の絡むことになると口も手も出せない。
(こんな近くにいるのに……)
ほぼ毎日顔を合わせているのに何の進展もない私と兵藤さんの仲。でも、あの河井さんて人は必要以上に親しげだから歯痒い。
「悔しいな〜〜」
彼女のようなんだから仕方ないとは思ってもやっぱり悔しい。
見苦しい嫉妬もいい加減にしろと言い聞かせながら、和室の掃除をするべく襖を開けた。
(やっぱり張り替えて成功だったな〜〜)
障子を前に笑みがこぼれる。
兵藤さんからもらった色取り取りの和紙を貼った障子、それに光が差すと一枚の絵画のようにも見えてくる。
「これを見てると私にも芸術センスとか有りそう!」
兵藤さんはこの障子をもう見てくれただろうか。
紙は提供してくれたけど、私が張り替えるところを一切見にきたことがない。
まるで興味も無いみたいだった。だから、それを思い出すと落ち込む。
単色志向の兵藤さんのカップにはいつも最初から何も付けない。
濃いめのコーヒーを希望するのはいつものことで、いっそのこと炭焼きコーヒーでも飲んでなよ…と、最初の頃は思っていた。
「うん、美味い」
そうは思っても、その言葉を聞くと嬉しくなる。
口元を緩めながら安心して、トレイを抱き抱えるようにして部屋を出た。
ドアを閉めた後のことは気になった。けど、仕事の絡むことになると口も手も出せない。
(こんな近くにいるのに……)
ほぼ毎日顔を合わせているのに何の進展もない私と兵藤さんの仲。でも、あの河井さんて人は必要以上に親しげだから歯痒い。
「悔しいな〜〜」
彼女のようなんだから仕方ないとは思ってもやっぱり悔しい。
見苦しい嫉妬もいい加減にしろと言い聞かせながら、和室の掃除をするべく襖を開けた。
(やっぱり張り替えて成功だったな〜〜)
障子を前に笑みがこぼれる。
兵藤さんからもらった色取り取りの和紙を貼った障子、それに光が差すと一枚の絵画のようにも見えてくる。
「これを見てると私にも芸術センスとか有りそう!」
兵藤さんはこの障子をもう見てくれただろうか。
紙は提供してくれたけど、私が張り替えるところを一切見にきたことがない。
まるで興味も無いみたいだった。だから、それを思い出すと落ち込む。