『ココロ彩る恋』を貴方と……
(兵藤さんって女性を抱く時はどんななんだろう……)
経験もないのに、考える事だけは一人前にする。
恥ずかしいことだと思いながら、それでも妄想は止まらない。
(あの朝みたいなこともするんだよね……)
「さやか」と切なそうに名前を呼んだ。
大切なものに触れるみたいに、唇を押し付けてきた。
(そっと壊れそうに扱うのかな……それとも激しくとかもする……?)
自分の妄想に胸をときめかせながら、いい加減にしようと立ち上がった。
「バカ紫音、恥を知れ!」
そう言ってポカポカと頭を拳で叩く。
その腕を振り落としてから柔軟剤入リの水が入ったバケツの持ち手を握り、ガチャ!と音を立ててドアを開けた。
「あら、お掃除?」
よくしてるわね〜と声をかけてきた河井さんは、ニコニコしながらこっちを見ている。
「……お帰りですか?」
憎らしげに見てしまった。
「ええ。また来るわ」
前をスルリと抜けていく彼女から、兵藤さんの香りと同じものが漂ってくる。
「お気をつけて」
ヒールの高いパンプスを履く背中を見つめる。この人の身体中に兵藤さんの跡が付けられてるんだろうと思うと、堪らない気持ちが湧いた。
「じゃあ」
鮮やかな微笑みを見せてドアは閉められた。とり残された私は、激しい嫉妬に襲われる。
経験もないのに、考える事だけは一人前にする。
恥ずかしいことだと思いながら、それでも妄想は止まらない。
(あの朝みたいなこともするんだよね……)
「さやか」と切なそうに名前を呼んだ。
大切なものに触れるみたいに、唇を押し付けてきた。
(そっと壊れそうに扱うのかな……それとも激しくとかもする……?)
自分の妄想に胸をときめかせながら、いい加減にしようと立ち上がった。
「バカ紫音、恥を知れ!」
そう言ってポカポカと頭を拳で叩く。
その腕を振り落としてから柔軟剤入リの水が入ったバケツの持ち手を握り、ガチャ!と音を立ててドアを開けた。
「あら、お掃除?」
よくしてるわね〜と声をかけてきた河井さんは、ニコニコしながらこっちを見ている。
「……お帰りですか?」
憎らしげに見てしまった。
「ええ。また来るわ」
前をスルリと抜けていく彼女から、兵藤さんの香りと同じものが漂ってくる。
「お気をつけて」
ヒールの高いパンプスを履く背中を見つめる。この人の身体中に兵藤さんの跡が付けられてるんだろうと思うと、堪らない気持ちが湧いた。
「じゃあ」
鮮やかな微笑みを見せてドアは閉められた。とり残された私は、激しい嫉妬に襲われる。