『ココロ彩る恋』を貴方と……
(それでもいい。それでもいいから、兵藤さんの目に留まりたい)
馬鹿だと思いながらも仕事部屋のガラス戸に手をかけた。
ごくっと唾液を飲み込み、大きく深呼吸をしてから中へと足を踏み入れる。
玄関口には兵藤さんのスリッパが脱いだままになっていた。
まだ中に居ることを確認して、自分もスリッパを脱いで上がる。
床張りにされた作業室には人影が見えない。
ということは、やはりあの体育館倉庫みたいな部屋の方にいるんだ。
(…まさかとは思うけど、裸でいるとかないよね)
河井さんを抱いたまま、自分だけが眠っているというのだけはやめて欲しい。
それなら最初から来なければいいんだと思いながら壁際に沿って進んだ。
「…あの……兵藤さん……」
壁の切れ間から声をかけると、驚いたように彼が振り向いた。
手には小さな刃刀を持ち、丸い目をしたままで声を発する。
「満仲さん……」
どう見ても仕事をしている雰囲気だった。そこへ私が顔を出したもんだから、ひどく狼狽えているように見える。
「何かあった?」
紙を選別している間は此処へ来てもいいと言われていた。でも、仕事をしているところは見られたくないと断られている。
「すみません……お仕事中だったんですね……」
馬鹿だと思いながらも仕事部屋のガラス戸に手をかけた。
ごくっと唾液を飲み込み、大きく深呼吸をしてから中へと足を踏み入れる。
玄関口には兵藤さんのスリッパが脱いだままになっていた。
まだ中に居ることを確認して、自分もスリッパを脱いで上がる。
床張りにされた作業室には人影が見えない。
ということは、やはりあの体育館倉庫みたいな部屋の方にいるんだ。
(…まさかとは思うけど、裸でいるとかないよね)
河井さんを抱いたまま、自分だけが眠っているというのだけはやめて欲しい。
それなら最初から来なければいいんだと思いながら壁際に沿って進んだ。
「…あの……兵藤さん……」
壁の切れ間から声をかけると、驚いたように彼が振り向いた。
手には小さな刃刀を持ち、丸い目をしたままで声を発する。
「満仲さん……」
どう見ても仕事をしている雰囲気だった。そこへ私が顔を出したもんだから、ひどく狼狽えているように見える。
「何かあった?」
紙を選別している間は此処へ来てもいいと言われていた。でも、仕事をしているところは見られたくないと断られている。
「すみません……お仕事中だったんですね……」