私-後編-
「亜美ちゃんは何が食べたい?」
歩きながら智君ママに聞かれた。
『あっ、何でも!』
「それ一番困るよねぇ」
『…ですよね』
結局私の好きなグラタンになった。
「智グラタンあんま食べへんからなぁ〜」
『そうなんですか?』
「……下の子は好きやったけど‥」
あっ…家を出てった妹…―
『智君から聞きました…』
「何やってんやろ…あの子は」
私は何て言えばいいのかわからなかった。
‘大丈夫ですよ!’
何を根拠に?
‘帰ってきますよ!’
本当に?もし帰ってこなかったら?
考えると何も言えなかった。
「智と…仲良くしてあげてな?」
『はいっ!』
それからも話ながら買い物を済ませると、智君の家に戻った。