闇の中に咲くランの花 Ⅲ
流星side



海「はぁ〜あ」




朔夜「…………。」




海「はぁ〜あ」




翠「…………。」




海「はぁ”〜あ”」




流星「…………。」





朔夜「ッんだよ!うるせぇな!」





翠「どうかしたのか?」





ホントちょっとうるさいかも





海「……好き」




流星・翠・朔夜「「「……はぁ?」」」




海「好き好き好き好き好き!!!」




朔夜「お、おい!落ち着けって!」




海「好き!好き!すーきー!!!!」




翠「海…どうしたんだ?」




流星「分かんねぇ」




なんで好きって連呼してんだ?




海「好きなのに!!!」




流星「分かった!分かったから落ち着け!」






ガチャ




蘭「どうした?」




海「あぁ!らぁ──────んっ!」





ギュッ




蘭「おわっ!どうしたんだ?


叫び声下まで聞こえてきてたぞ?

なんて言ってるか分かんなかったけど」




海「蘭……」




蘭「どうした?」




海「僕………聞きたくない!」




蘭「えっ?」




そう言って走ってどこかに行ってしまった




蘭「ちょっ!海!?


海、どうなってんだ?」





流星「分からない

さっき好き好きって連呼したと思ったら

こんな感じ?」





蘭「好き好き?」




朔夜「はぁ……


それより蘭なんか用があったんじゃねぇの?」





蘭「っ!そうそう…


って言っても海が居ないと」





翠「探しに行く?」




蘭「いや、場所は知ってる


だからまずはみんなに渡すよ」





なにを?





蘭「はいっ!

いつもありがとう!」




そう言ってくれたのは何かが入った箱





朔夜「……ビックリ箱じゃねぇだろうな」





蘭「なっ!失礼だな!

そんなことする訳ねぇだろ!」





なんだろうと気になり開けてみると


キャンドルが入っていた




翠「キャンドルのなかに入ってる花は


ゼラニウムだね」




ゼラニウム?





朔夜「後、アサガオだな」





蘭「うん!

アサガオの花言葉は “固い絆” 」




流星「まるで俺たちだな」




蘭「ふふっ だろ!」




流星「ゼラニウムの花言葉は」





流星・蘭「「 “真の友情” 」」




なるほどな


蘭の言いたいことがよく分かった





蘭「あのな流星…「言わないで」

っ…でも!」




流星「分かってるよ


蘭が言いたいことは」





蘭「流星…」




蘭がどんな気持ちなのかも





流星「わかってたんだ


目が覚めたあの時からずっと…」




蘭はアイツしか見てないんだって




流星「何でだろうな


ずっと一緒にいたのは俺らだったのに」





蘭「流星…ごめん…ごめんな…」




流星「謝るなよ」




諦めたくなくなるだろ?




流星「俺は蘭が幸せならいいんだ


だから泣きそうな顔すんなよ!」




コツンッ


と蘭の頭を小突いた




蘭「泣きそうになってねぇし!」




流星「ハイハイ


海のところにも行くんだろ?

早く行ってやれ」




蘭「……おぅ!」




バタン




そう言って走っていった






流星「………はぁ…」




翠「流星は強いね」




朔夜「ホントだよ」




流星「強くなんかないよ…


はぁ……意外とダメだな…」




ショックがデカイ…


だから海はあんなこと叫んで出ていったんだな





朔夜「流星?」



流星「……なに?」



朔夜「泣きたきゃ泣けばいいんじゃねぇの?」



朔夜がなんか優しい…




流星「悪寒がする…」



朔夜「なんだと!?」



流星「ふっ」



朔夜「なんで笑うんだよ!」



流星「いや、何でも」



翠「気になる」



流星「何でもないって!」





ただ…コイツらがいてよかったなって


諦められない……




ずっと好きだったのに…


呆気なく終わりなんて嫌だからな




俺はあきらめない


これからもずっと好きでいてやる



流星side end




蘭side


今は海を探して外にいる


まぁどこにいるかなんて分かってるけど



私がやってきたのは近くの河原





確かここら辺だったはず




あっ



蘭「かーい

やっぱりココにいた」




海「蘭…」




蘭「いきなり飛び出していくんだもん

ビックリしたぞ」




海「……僕は何も聞かないからね」




蘭「……分かった

じゃあ何も言わないよ」




海が嫌って言ってるんだ


無理やり伝えようとは思わない




海「…なんでわかったの?」




蘭「海がココにいるって?」




海は黙って頷いた




蘭「だってココ

私と海が初めて仲良くなったところだろ?」




海「………覚えてたんだ…」




蘭「ったり前だろ?


あの時は海に心底嫌われてたっけ」




海「今は好きだもん」



蘭「ふふっありがとう」




やっぱり思い出すな〜


あの日のこと



蘭side end




海side


僕は蘭の言う通り

蘭のことが “大嫌い” だった



今は大好きだよ!?



僕には両親がいない


今は一人暮らしだ




僕が中1の時に空き巣に殺された



両親は共働きで家にいないことが多かった


当然、一人になることが当たり前になった




ある日両親の仕事が久しぶりの休みになって


嬉しかった



でも空き巣が来て、


お父さんもお母さんも僕を庇って死んだ



両親が殺された時、僕は何もできなかった




だから強くなりたくて舞蝶に入った



そして両親が死んでからは親戚に引き取られた





でも僕は素行が悪いだの、行儀が悪いだの、


グチグチ言われていた




どうして誰も褒めてくれないの?


どうして誰も僕を見てくれないの?


どうして僕をひとりにするの?




そんなことばっかり思ってた時に蘭がきた




蘭はとても強かった



幹部の人たちを倒してしまうほど




僕にないものを持ってる蘭が嫌いで

仕方なかった




ある日、蘭とタイマンをはることになった




蘭を倒して僕の強さを証明させたかった




でも僕は負けた




女の子に負けた…


それも大嫌いな女の子に……




これ程屈辱的なことはない…そう思った





僕は悲しくて今日みたいに河原に来ていた




海『女の子に負けた……


僕は弱いのかな……誰も守れないのかな…』




これからも愛されないのかな…




海『……グスッ……どうして…?

これじゃあ…いつまで経っても…ひとりだよ

…グスッ……ひとりは嫌なんだよ…グスッ』





ジャリッ



ビクッ
海『っ!?』




?『泣いてるのか?』




そこにいたのは





蘭だった





海『……お前には関係ない…』




蘭『私に負けたから?』




っ……それだけじゃない…




海『負けたぐらいで…泣くわけねぇだろ』





蘭『じゃあどうして?』




海『お前に言ったところで何が変わる?

何になる?』




話したって…何をしたって


僕は愛されず、ずっとひとりなんだ




蘭『…………ひとりが嫌』




ビクッ
海『………なんで…』




なんでわかった?




蘭『さっき言ってるのを聞いた』




だったら聞く必要無かったんじゃん




海『そうだよ…僕はひとりが嫌なの』



蘭『ふーん』




“ふーん” ってなんだよ


興味内なら聞かなきゃいいじゃん




蘭『君はもっと仲間のことを見るべき』



海『はぃ?』



蘭『君はひとりじゃないってこと』



なにいってんだろ?




蘭『はぁ……


そのポカンとした顔をやめなさい』




そう言ってほっぺたをグリグリされた




海『ぃや!やーめーろっ!


グリグリするなぁ!』




蘭『ぷっはは!』




ドキッ


初めて笑った顔を見た気がする




蘭『悪ぃ悪ぃ

でも、少なくともお前は仏頂面より

笑ってた方がいいと思うぜ』




海『なんでそう思うの…?』




蘭『ん?…そりゃあ君のこと見てたからね』




僕を……見てた?

< 414 / 438 >

この作品をシェア

pagetop