闇の中に咲くランの花 Ⅲ
春兎「ねぇねぇ


さっき健兄に何あげたの?」





蘭「あれか?

う〜ん…沖縄の土産ってところかな?」




春兎「でも買ってきた奴じゃないよね?」




蘭「まぁ私が沖縄で作ったヤツだからな」





売ってあるやつなら

箱だってもっといいやつだろ





春兎「えぇー!


健兄だけ蘭からの手作り!?


僕のは!僕のは!」






蘭「ちゃーんとあるから

後で渡そうと思ってたんだよ





よしっ!洗い物終了!

手伝ってくれてありがとな、春兎」




そう言って私は春兎の頭を撫でた




春兎「ムゥー」




なんか膨れてる?


なんで?




春兎「前から思ってたけど


蘭って僕のことどうおもってるの?」




どう思ってるって…




蘭「かわいい弟?」




春兎「おとうとー?」




あれ?なんか怒ってる?




ドンッ



蘭「わっ!」



いきなり春兎に押し倒された




蘭「痛った〜!!


っ///////春、兎」




ち、近いっ////


顔が近いっ!





春兎「僕、蘭が好きだって

前から言ってるよね?


こんなに言ってるのに

何で僕を弟としてしか見てくれないの?」




春兎…


怒りと悲しみが混ざった瞳





蘭「春兎…」




春兎「本当の姉弟じゃないってわかって

すごく嬉しくて…

好きになってもらいたくて

家族じゃなくて男として見てもらいたかった


なのに……

いつも弟扱いで…」




これまで苦しめたのは私だ




蘭「ゴメンな春兎」




春兎「なんで謝るの?

何に対して?」




蘭「春兎がこんなに私のことを

思ってくれてるのはわかってた


でも私は好きなひとがいるんだ」





春兎「だから何?


別に蘭に好きな人がいたって構わないよ


ただ少しでも…少しだけでも


僕を見て欲しかった…」





蘭「春兎のことは好きだ


でもやっぱり姉弟でいた時間が長すぎたんだ


だから今もこれからも春兎は

私の中では弟でしかないんだ」





春兎「じゃあもっと早く告(イ)ってたら


蘭は意識してくれてたのかな…



でもその時は蘭は男嫌いだったから

安心しきってたんだ



どのみち男が嫌いな蘭に告白しても

OKされないとは分かってたから…」





蘭「春兎…」




春兎「蘭が僕を家族としてしか見てないのは

よく分かったしこれからもないってことも

分かった



蘭がアイツに落ちた時点で

僕の恋は終わってたんだ」




っ!?



蘭「私の好きな人知ってるのか!?」




春兎「あれだけ分かりやすければね


アイツにだけ態度違うんだもん」





変えてたつもり無かったんだがな…




無意識ってやっぱり怖ぇな






ガチャ




陸兎「蘭〜次のお風呂どうぞ…って!春兎!

蘭の上に乗って何やってんだ!」





春兎「あぁー邪魔が入ったー


せっかくいい所だったのに



ねぇ?蘭」






蘭「えっ!?」




今のはいい所だったのか?




分かんねぇからなんて反応したらいいんだ?






陸兎「いいから降りろ!


そんでさっさと風呂に入ってこい!」





春兎「えぇ〜


蘭に入ってこいって言ったじゃん!」





陸兎「いいから行ってこいっての!」





春兎「仕方ないな〜


ねぇ蘭」




蘭「な、なんだ?」




春兎「僕は蘭が大好き、これからもね


この事だけは忘れないでよ」





蘭「わ、わかった」




どんな思いで言ったのか…



私には分からない






春兎「さて、仕方ないから

お風呂に行ってこようかな〜」





陸兎「さっさと行ってこい!この糞ガキ!」





春兎「兄ちゃんにだけは

言われたくないね〜だっ!」




陸兎「なんだと!?」





バタンッ





蘭「はぁ〜……ビックリした〜」




いきなりあんなことになるなんて…



まぁ仕方ないよな





私がさっさと言わなかったから

こうなったんだ




ツケが回ってきたと言うことだな






陸兎「で?」





蘭「…“で?”?」





陸兎「なんで春兎に押し倒されてたわけ?」





蘭「う…ま、まぁ…なんて言うか…」




ホントになんて言えばいいんだ?




陸兎「言えないことしてたのか〜?」





蘭「いやっ…そうゆう訳じゃ…」




陸兎「まぁ大体の予想はつくけど?」





蘭「つくのかよ!」





つくなら聞き出そうとすんなよ!





陸兎「まぁ俺も春兎と同じだしな」




同じ?





陸兎「俺も蘭が好き


でも蘭は綾斗が好きだろ?」






蘭「っ/////////」





好きな人の名前言われると恥ずかしいっ!





陸兎「まっ、諦める気は毛頭ないけど?」





蘭「はぁっ!?」





みんなそればっかり!




私以外にも女の子は沢山いるってのに!







陸兎「俺が慰めてやるからな!」





蘭「なんでふられる前提で話してんだよ!」






陸兎「ハハハッ!嘘だって!嘘っ!

てゆーか告白すんだろ?」




な、何故それを!?





陸兎「早くしないととられるぞ〜?」





蘭「えっ!?」




あ、ていっても

綾斗には好きな人がいるんだっけ?




だったらどのみち振られるのか…





蘭「はぁ……」




陸兎「おいおい!そんなに落ち込むなよ!


まるで俺がいじめたみたいじゃねぇか!」





実際、言葉の暴力を振られたよ





陸兎「大丈夫だ」





蘭「………?」





陸兎「大丈夫だからよ」





何を根拠に大丈夫って?





陸兎「根拠はあるけど今は言えない」





蘭「なんだよ!


スゲェー気になるじゃんかよ!」






陸兎「すぐ分かるって」






わけわかんねぇよ





陸兎「じゃあ頑張れよな」





そう言って私の頭を撫でるとリビングを


出ていった








蘭「なんだよ…兄貴らしいことしやがって」






でもこれでみんなに言い終わった





後は自分の好きって気持ちを伝えるだけ





でも……無理かもなんて思いだしてる








蘭「ダメ!ダメ!」




ネガティブになるんじゃねぇ!




そんなんで舞蝶の総長やってられっか!





マジで頑張るぞ!




振られても落ち込まねえ!




よしっ!やってやる!
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