すきなのに!!
すると、どこからかやってきた誰かがあたしの頭を強制的に下げて俯かせた。


皆と目が合わなくなってちょっとホッとしてる自分がいる。



「詳しい話はまた明日にするよ。栞が帰るの遅くなるとアレだし」





あたしの頭を下げたのは見なくてもわかる。


昔からあたしのことをわかってくれる。





「ほら、帰るよ栞」

「ま、待って」




あたしは歩き出そうとした幼馴染を呼び止めた。


そして大きく深呼吸して息を整えて、みんなの顔を見た。




「助けに来てくれて、ありがとう」




一瞬面食らった顔をした朋稀たちだけど、すぐにいつもの意地悪そうな笑顔に変わった。



「助けに来るまでもなかったみてーだけどな」




にかっと笑った朋稀に苦笑いを返してあたしは理陽を見上げた。



「送るよ」

「送るも何も、隣でしょ」

「素直じゃないんだからー」

「はー?」




理陽と言い合いしながら部屋を出る。



いつもより、理陽もみんなも優しい目をしていた気がした。



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