すきなのに!!
輝とはまた別の怖さ。

朋稀が一校を仕切るトップだと感じさせる強さ。


そしてどこか寂しそうな目をした朋稀に戸惑わずにはいられない。




朋稀があたしの腕を引っ張り上げると、あたしはいとも簡単に朋稀の膝の上に乗っかる態勢になった。




「いくらお前が他の女と比べると圧倒的に強くても、男には敵わねえよ。…絶対」




最後の2文字を強調して言った朋稀はあたしの腕にさらに力を込めた。




「こんな細い腕なんて、男が本気出せば簡単に折れちまうんだ」




まるで子供に諭すみたいにあたしに言う朋稀の目はやっぱり寂しそう。




ーーー何かを、思い出してる…?





「昨日はお前らが南栄に連れてかれるところをたまたま見たヤツがいたから良かったけど、これから先はどうなるかわかんねえぞ」




朋稀があたしの髪にそっと触れた。


あたしがいることをゆっくり、ひとつずつ確かめているみたいだ。





「俺らがお前の側にいれば当然お前は余計狙われやすくなる。けど、」




朋稀の手があたしの頬までくるとピタリと止まった。




「その分俺が守ってやっから。だから…」




前は‘‘俺ら”だったのに急に‘‘俺”になった。



そして朋稀の手があたしの頭を優しく撫でる。



大丈夫だって言われてるみたい。



朋稀は柔らかく笑ってこう言った。




「これからも俺らの側にいてくれ」











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