すきなのに!!

誰かに、そばにいてほしいなんて、

言われたことがなかった。



お母さんはあたしのことなんてまったく見てくれなくて、毎日寂しかった気がする。



あぁ、どうしよう。




なんか…嬉しい。






するとあたしの頭に誰かの手が置かれた。
そのまま優しく撫でられた。

あたしの肩や背中、片手も誰かに支えられた。




見上げるとそこには優しく笑うみんながいた。




頭に手を置いたのは、理陽。


肩に手を置いたのは輝。


背中に手を置いたのは颯くん。


手を握ってくれたのは万里くん。




理陽があたしの頭をわしゃわしゃって撫でる。




「もう無理しちゃダメだよ」





1人じゃないんだから。


そう付け加えて笑う理陽。




優しい。

嬉しい。



こんなの初めて。







少しだけ涙ぐんでいると、輝にスマホをひったくられた。動きが速すぎて見えなかった。


輝はブツブツ言いながらあたしのスマホを勝手に操作している。



あたしが眉を寄せると颯くんが元から緩々のネクタイをさらに緩めて困ったように笑った。



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