すきなのに!!
爽やかなシトラスの香りが広がる。



「せんぱーい!俺とも話しましょうよ!!」


「夏樹きゅん!」




「きゅんってなんですかー?」とニコニコ笑う夏樹くんに癒される。


このヤンキーズの中であたしの癒しは夏樹くんと万里くんだけだな。



思わず口元が緩む。おっと、決して変態ではない。変態ではない。大事なことだから2回言ったからね。




本当可愛いなぁ。お姉さんはきゅんきゅんだぜ!





「とりあえずここだと皆うるさいんであっち行きましょ?」

「うんっ」




夏樹くんに手を引かれ、あたしたちは窓際までやってきた。なぜか壁に黒板があってあたしは首を傾げた。




「あ、気になります?」


「う、うん」




夏樹くんはにっこり笑ってあたしに「まず座ってくださーい」と言ってどこかからか持ってきた椅子をあたしに差し出した。




「ありがと」


「いえいえー」




夏樹くんは優しいな…こんな息子がいたら。ってあたしたち1歳しか年変わんないのに何言ってんだあたしは!




自分の頭を小突くと夏樹くんはまたもやどこかからか持ってきた黒縁メガネをかけてチョークを手に取った。



メガネも似合うだなんて…悔しい!!でも可愛いから許す!!





1人で悶えていると夏樹くんがパンパンと手を叩いた。




「これから先輩のために、この街の高校事情について説明しますねー!しっかり聞いてください」




夏樹くんは器用にスラスラと文字を書き始めた。ていうか話逸れるけど、夏樹くん字上手いね!!




書かれたのは【西華】と【南栄】。




「西華のトップは我らが朋稀さん。南栄は如月 遊ってヤツです。ま、知ってますよね!」




ブルーアッシュの遊だね。




< 115 / 165 >

この作品をシェア

pagetop