すきなのに!!
あたしがコクリと頷くと夏樹くんは再びチョークを走らせた。




「で、No.2が先輩もよーく知ってる透です」




よーく??いや、そこまで知らない…。



夏樹くんは西華と南栄との間にVSとつけた。




「まあ、この街はいろんな高校がありますけど、主な中心となってるのはこの2つと、北倉(きたくら)と東堂(とうどう)ですね。この4校は仲が悪いんですよねー」




夏樹くんは北倉と東堂とVSも書き加えて困った顔で腕を組んだ。




「で・す・が!!」




わわっ!びっくりしたんだけど!!急に大声出さないでよ!!


夏樹くんの大声にびっくりしていると夏樹くんに肩を掴まれた。




「栞先輩のおかげで、南栄と上手くいきそうなんですよね~」



「え?あたし?」



「そうなんですよー。やっぱ仲悪いよりは良いほうが断然いいじゃないですか!まぁ、とっても腑に落ちないんですが、透が先輩を気に入っちゃったみたいですしー…」






本当に嬉しくないけどね。だってあの人なんかよからぬことを考えてそうじゃないか。あたしの勘がビビッと来たのさ。




夏樹くんはあたしの肩から手を離して何を思ったのか頭をなでなでし始めた。





「朋稀さんたち、なんだかんだ言って先輩に感謝してましたよ。あの人たち素直じゃないからダメですけどね!」


「……そうなんだ…」





夏樹くんはにっこり笑ってあたしの頬を突ついた。ちょ、照れるからやめてくださいな…。




「だから代わりに俺が先輩のこと褒めてるんですよー?」





夏樹くん。「いい子いい子」してくれるのはさすがにあたし、お年頃なんで恥ずかしいっす。


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