すきなのに!!
あー…理陽がキレてらっしゃる。あたし、思うんだけど、最近の理陽くんはよく怒ってる気がする。


ていうかそんなことよりも!!


あたしは夏樹くんの手を引いて万里くんのところまでダッシュした。万里くんはやっぱり嫌そうな顔をする。もうこの顔されるのにも慣れてきちゃった…。




「万里くん!学校来るの?!」


「…そう、だけど…」




よっしゃあー!!


あたしはきゃっきゃっと夏樹くんの手を取って飛び跳ねた。夏樹くんは優しいね。嫌な顔1つしないで付き合ってくれる。




「やったー!隣の席の万里くんが来てくれたら授業中話し相手ができる!」


「え。俺アンタの隣なの?」




あれー言ってなかったっけ??


万里くんは大きな目をパチクリさせて驚いてる。ちょっと、嘘でも嬉しそうな顔しろや。


そもそも万里くんはなんで不登校だったんだろう?


あたしが首を傾げるとそれを察した颯くんがにっこり笑って万里くんの肩に腕を回した。すぐ払われたけども。




「万里ちゃんは、極度の人見知りなんだよ~」


「ひ、人見知り?!」




あ、だからあたしと最初会ったときあんな怯えてたのか?いや、人見知りでもさすがにあそこまでなるもんなのか?本当のところはわかんない。




「でも、万里くんもうあたしと普通に喋れてるもんね!」


「…アンタは別に変に気とか使わなくてよさそうだし?」





なぜ疑問形?!他に理由ないの?!



万里くんはカバンから制服を出して「着替えてくる」とだけ言うと、足早に部屋から出て行った。


え、カバンに制服入れたら教科書とか入らないよね?もしかして持って来てないのか?あたしが見せなきゃいけないのか?ていうかそもそも授業受けるのか?




疑問だらけである。




< 118 / 165 >

この作品をシェア

pagetop