すきなのに!!
茉央ちゃんの自己紹介も終わって、飲み物とかを頼んで、待ってる間に質問タイムが始まった。



ぶりっ子ぶりぶりしていた茉央ちゃんにやたら質問がくるので美香ちゃんと杏ちゃんは不満そう。



このまま何事もなく終わればいいけど…!!





テーブルの下でみんなに見えないように手をぎゅっと握った。




男の子たちが茉央ちゃんを質問攻めにしていたけど、そろそろ飽きてきたのかの、それぞれ近くの席の女の子に話しかけ始めた。


あたしの左斜め前の男の子はあたしと茉央ちゃんの2人に質問をしてくれるけど、正直あたしは興味ないので適当に相槌を打っていた。


代わりに茉央ちゃんが全部答えてくれるからいいんだけどね。



ストローでオレンジジュースをちびちび飲んでいると、その男の子はあたしの視界に入るようにテーブルをトントンと人差し指で叩いた。



うげ…。




ストローに口をつけたまま目線だけ上に上げて爽やかに笑うチャラチャラした男の子を見た。名前なんだっけ…。


あたしが首を傾げると男の子はにっこり笑って立ち上がり、人が1人座れそうなあたしの隣にやってきて腰を下ろした。



席移動ありなの?と思って周りを見たけど、みんな自由に動いていたから、なーんだ、なんて思った。


断る口実がなくなったな。



とりあえず近いよね。はい。近いです。ごめんなさい退いてください…とは言えず、


男の子はテーブルに頬杖をついて、じーっとあたしを見つめている。あたしなんか見たって楽しくないよ。



こうやって初対面の人に見られるのもあんま好きじゃないというかなんというか。



そもそもあたしの顔と名前って街に出回ってたりするのかな?だったら動きにくいよね…。





「栞ちゃん、だっけ?」


「……へ?…あ、うん」




あたしはキミの名前知らないのになんか申し訳ないね!



男の子はクスリと笑って首をこてんと傾けた。




「俺は真白(ましろ)」


「名字?」


「名前だよ」





真白くんって変わった名前!



真白くんは格好はチャラチャラしてるけど顔は爽やかでかっこいい。
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