すきなのに!!
恭ちゃん恭ちゃん!
茉央ちゃんに気付いてあげて!



あたしの視線に気付いた恭ちゃんは怪訝な顔をすると、しばらくしてから「…あ!」と言ってポンっと手を打った。






「アンタ、この間の…」



「思い出してもらえましたか?!あたし、平野 茉央っていうんです!!あの、お名前は?」





茉央ちゃんが掴みかかる勢いであたしを押しのけて恭ちゃんの両手を握った。





「椎名 恭汰…で、す…うぉっ!」


「恭汰くん!よろしくね!」


「よ、よろしく…」





恭ちゃんはあたしの方を見て『コイツどうにかしろよ』と目で訴えてきた。恭ちゃんにはさっきのマンゴーの借りがあるし…。




あたしは苺パフェを食べ切ったところで、茉央ちゃんに詰め寄られてる恭ちゃんの腕を握った。


い、意外と筋肉ある…。




ちょっとドギマギしつつ恭ちゃんの腕を引っ張った。






「き、恭ちゃん」





茉央ちゃんがギロリとあたしを睨みつけた。怖い…。茉央ちゃんの口が『嫉妬?』と動く。いや、違うからね。嫉妬とかではないよ。ただ、友達として恭ちゃんが心配で心配で…ってなんであたし言い訳してんだ。




とりあえず一旦ここから離れないと…。




作った笑顔を貼り付けて恭ちゃんの腕をグイグイ引っ張った。





「あ、恭汰と栞ちゃん抜けるのー?」

「そっかそっかー」





違うよ。なんだよ真白くんと杏ちゃん。



舌打ちを盛大にして背を向ければ真白くんが「栞ちゃんってわかりやすいね」と言ってケラケラ笑ってる。





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