すきなのに!!
「どうしたんだよ、こんな所連れてきて」


「あー…ちょっと疲れたから気晴らしに、ね。ごめんね迷惑だよね…」






人通りが少ないトイレへと続く廊下まで恭ちゃんを連れてくると恭ちゃんは不思議そうな顔をした。


俯きがちに頬をかきながら謝ってみた。





恭ちゃんはあたしから顔をそらすとなぜか左手で口元を隠して右手で金色の髪をくしゃりと触る。






「べ、別に迷惑じゃねえし。よくわかんねー女に絡まれてたからちょうどよかった」



「茉央ちゃんか…」



「あーそうそう」






まあ、恭ちゃんが苦手そうなタイプだよね。きゃぴきゃぴしてる子あんまり好きじゃないって前言ってたし。




でも茉央ちゃんだいぶ本気っぽいし…。



友達としてフォローするべき??





あたしは恭ちゃんの腕をブンブン振って笑いかけた。





「茉央ちゃん可愛いし、一緒にいて楽しいこといっぱいあるよ!だから恭ちゃんも話してみなよ!!」





よし、これでバッチリ。



恭ちゃんに見えないところで小さくガッツポーズをした。だけど恭ちゃんはなんだか不機嫌そう。あれ、なんかしたっけあたし。



恭ちゃんは側の壁にもたれて腕を組み、あたし目を真っ直ぐ見る。





「で、お前は俺とソイツがくっつけばいいと思ってるわけ?」



「…え?あ、う。と、友達になってくれると嬉しいなって…。それに!元はと言えば恭ちゃんが茉央ちゃんを助けたからこうなったわけで、責任は取るべきだ…と思う」





あれ、あたし、自分で何言ってるのかわからなくなってきたぞ…?!


とりあえず、茉央ちゃんと恭ちゃんが仲良くなってくれたらいいなって思うけど。





「ふーん。お前はそんな風に思ってんだな」






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