すきなのに!!
気がつけば恭ちゃんが壁に追いやるようにあたしの肩を押していた。


そして熱っぽい目であたしを見下ろす。




な、なんか恭ちゃん変だよ。





あたしは後ろにゆっくり下がったけど、恭ちゃんはどんどんあたしに近づいて来て、あたしの背中が壁に当たると、もう下がれないところまで来てしまった。






「きょ、う…ちゃん…?」







恭ちゃんは左腕を壁にぴったりくっつけて、右手であたしの耳のすぐ横の壁に手をついた。





……?!!
こ、これが壁ドン…!!



山田スキンヘッドのときはなんとも思わなかったのに、なんで恭ちゃんだとこんなに、心臓が飛び出そうになるんだろう。



…なんなんだ、これは。





恭ちゃんはあたしの顔の目のまえまで近付くと、やけに真剣な顔をするからどうしたらいいのかわからない。



恭ちゃんは右手で、あたしの左腕を上に上げて壁に押し付けて指を絡ませた。




よくわからない感情に押し潰されて、あたしの顔に熱が集まる。





「誰にでも優しくしてるわけじゃねぇし」



「……え…?」






苦しそうに声を出す恭ちゃん。





あれ、恭ちゃんってこんなに背高かったっけ?こんなに手大きかったっけ?







こんなに、かっこよかったっけ?





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