すきなのに!!
…それにしてもこのジュース、なんかおかしいぞ。しゅわしゅわしてて変な感じ。甘酸っぱくて美味しいっちゃ美味しい気もするけど。




……まさか。








「おいコラ颯くん。あたしにお酒飲ませたでしょ!!」





あたしが飲んでいたコップを颯くんの前に突きつけると、特に気にする様子もなく颯くんはケラケラ笑って頷いた。





「そうだよー。しおりん見かけによらずお酒弱くないんだね。つまんねーの」


「そんなこった知るか。初めて飲んだもん」






颯くんはつまらなさそうに「ちぇー」とわざとらしく言って、ビールの蓋を開けて飲み始めた。



うっわー。ぐびぐびいきますねお兄さん。





酔っ払うと恭ちゃんみたいになるのかな。いや、全員がああなるわけじゃないか。





親切な誰かにジャケットを掛けられて近くのソファーに横たわっている恭ちゃんの顔はまだ赤い。





「人の気も知らないで寝やがって。アホ恭ちゃん」


「どうしたのしおりん」





目をぱちくりさせてあたしを見つめる朋稀はいつもよりなんだか可愛い。…悔しいな。



あたしはやけになってわざとつっけんどんな態度で朋稀から顔を逸らした。




「べっつにー。ていうか朋稀までその呼び方しないでよ。訳わかんなくなるから」


「お前のほうが訳わかんねえよ」






朋稀は「じゃあどんなあだ名にしようかなー」とニヤニヤ笑う。変なのになったらどうしよう…今更心配してももう遅いか。





あたしがため息をつくと、後ろに人の気配がして肩に手が置かれる。



恐る恐る後ろを振り返った。



燃えるような赤い髪をしたあたしの中での1番の要注意人物…、






「…と、透っ!!」


「しーおりちゃん!来とったんなら言うてくれれればよかったのにー」


「は?!大富豪やってたんじゃないの?!」


「もう終わったわ。あんなんやるより栞ちゃん見とった方が100倍ええもん。てか、栞ちゃんって皆呼んどるから俺はしおちゃんって呼ぶわー」


「い、いろいろ意味わかんないし!!」




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