すきなのに!!
呆れて声も出ないあたしに気付かず、透はにこにこと笑っている。


ここにも黙ってたら3割増の人がいますね。





「あ!いたいた栞ちゃん!探したよー」


「弥生さん?」





向こうの方からてくてくと歩いてやって来た弥生さんに軽く手を振り返せば、朋稀があからさまに嫌そうな顔をする。






「げ、お前姉貴と会ったのかよ」


「そうだよー。美人だよね」


「顔だけ野郎だからな」


「朋稀もだけどね」


「は?」





…はい、スルーしますねー。


朋稀の話は終わり!ちゃんちゃん。



自分の中で朋稀の扱いがどんどん雑になってる気がする…。



弥生さんは笑いながらあたしの頭をぽんぽんして、朋稀を見た。






「栞ちゃんをいじめたらダメだぞ」


「いじめてねーよ。むしろ逆だわ」


「いちいちうっさいガキねぇ、栞ちゃん、朋稀から離れたほうがいいよ。バカが移っちゃう」


「俺よりソイツのほうがバカなんですけど」


「は?アンタの方がバカでしょ」


「んだと?あぁん?」


「ぎゃああ誰か助けてー」







朋稀と弥生さんに挟まれて縮こまるあたしを見かねた颯くんが引っ張り上げて救出してくれた。





あたしはキラキラした目で颯くんを見上げる。






「颯くん神様ありがとー!」


「うん。颯くん神様ってなんかおかしいけどね。うん」






するとさっきまでスマホをいじっていたはずの透がやれやれと肩をすくめて、アメリカ人っぽいジェスチャーをして朋稀をげんなりとした目で見た。






「ほんまガキやな」


「それはあたしもそう思った」


「せやろ?」




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