すきなのに!!
しばらくすると朋稀とのバトルに勝利したっぽい弥生さんがあたしの手を握ってにっこり笑う。


不良のトップをくたばらせちゃってもこんな風に綺麗に笑える弥生さんって一体…。



弥生さんは財布から1枚の名刺を取り出すと、あたしの手にそれを握らせた。


ピンク色の文字で書かれたそれに、あたしは首を傾げる。




「ファッションデザイナー…?les lolos(レ・ロロ)って今めちゃくちゃ人気のブランドじゃないですか!!」





確か凛の最近お気に入りのブランドで可愛い服とかカバンとかがいっぱいですっごく人気らしいの。



そんなすごいブランドのデザイナーさんが朋稀のお姉さんだなんて…世間は狭いね。






あたしがぽかんと口を開けて間抜け顔をしていたら朋稀と颯くんに吹き出された。失礼なヤツらね。



弥生さんは、にっこり笑ってこてんと首を傾けた。綺麗っすね先輩。





「それでね、最近新しくできた服を着て、撮影させてもらえるモデルさんを探してたんだけど、なかなかいい子がいなくて…」


「そうなんですかー」





ほー、ファッション業界も大変なのね。


腕を組んでうんうんと首を振って相槌を打ったら、弥生さんがいきなりパシンと手を叩いた。…おぉ、いい音っすね先輩。





「でも、栞ちゃんがその服のイメージにぴったりなの!!だからモデルをしてもらえないかなーと思って!」


「え…嘘?!」






あたしが両頬を押さえて立ち上がると朋稀があたしを馬鹿にしたように笑う。






「姉貴、ソイツには無理だろ。うちの学校にはもっと中身も外見も完璧な女がいるからそっちにしとけよ」



「何言ってんの。朋稀にもモデルとして参加してもらうんだからね」



「はっ?!ふざけんなよ!!」



「そっちこそふざけんじゃないわよ。顔だけが取り柄のくせに何をほざいてんの」







う、嘘でしょ…弥生さんの後ろに死神が一瞬見えましたよ皆さん…。か、鎌をブンブン回してらっしゃいますよ…。

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