すきなのに!!
なんだろう。もう、女としてあたしは終わったのかもしれない。



万里きゅんのうるうる攻撃に呆気なくやられたあたしは近くにあったカクテルを渋々万里くんに渡そうとしたところで、腕を後ろから掴まれてカクテルをひょいっと取られた。




カクテルの入ったグラスを口に当て、一気に煽った茶金色の髪をした幼馴染が、飲み終わったグラスを持ったまま、背もたれに手を置いて軽々飛んであたしと、倒れている透との間に座った。



ソイツはグラスをテーブルに置くと、人差し指を立ててあたしの顔に指を近づけた。びびった…目潰しされるかと思った。







「万里は酒弱いからあんま飲ませちゃダメだよー。はい、没収ー」



「りょーのばかぁ」



「黙って万里。早く寝なよ」






理陽は呆れた顔で万里くんにデコピンして、腕を組む。




たぶん理陽は軽くデコピンしただけなのに、もうだいぶ酔っ払ってる万里くんはふらふらと倒れていった。あらあら。



万里くんの明るい茶髪が今日はいつもより暗い気がする。



あ、そういえば今日が万里くんの学校復活の日だったね。



やっぱり疲れちゃったのかな。


小さく寝息を立てて眠る万里くん。



無意識にあたしは万里くんの頭を撫でいて、それに気付いてハッと顔を上げたとき、なぜか優しい表情をした理陽と目が合って、少しドキリとした。





理陽は優しく微笑んであたしを見つめる。






「…りょ、う?」


「ん、何?」


「理陽は、さ」


「うん」






なんだか上手く言葉が出て来なくて、ゆっくり喋るあたしに嫌な顔1つせずに相槌を打ってくれる理陽を見るのは少し照れくさい。




あたしは万里くんの頭を撫でながら、周りの人たちを見た。



キッチンでまだ何かを作ってぎゃあぎゃあ言ってる輝と夏樹くんと、それを見守る晶くん。



いつの間にか大富豪に参加していた遊と颯くんと弥生さんと朋稀。



哲ちゃんや、亜弓、潰れてる恭ちゃん、透、万里くん。





「あたしが理陽と会ってなかった5年間、お互いにいろんな人と知り合って、ここまで来たのかって思うとなんか変な感じ」





あたしは恭ちゃんや凛、亜弓、哲ちゃんたちに会って、


理陽は朋稀、輝、万里くん、颯くんたちに会って、


今ここにいるんだよね。



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