すきなのに!!
凛に助けを求めようと振り向いたけど、時は既に遅し。凛は朋稀くんと原田少年に羽交い締めにされていた。



「誘拐だ!訴えるぞ!」



あたしの前を歩く2人に向かって大声を出したけど、全然相手にしてくれない。


校舎の中を無数の好奇の視線を浴びながらどんどん進んで行く。


どうにかして逃げなきゃ…あ!そうだ!!

あたしは前にいる金髪王子に恐る恐る話しかけた。


「ね、まだなの?」

「まーだだよ」

「髪が鬱陶しいから結びたいの。手離して」

「あとで結んであげるから」

「…じゃあ、足痛いから離して」

「あとでマッサージしてあげるから」




…なんかあたし、金髪王子に物凄い子供扱いされてる気がするんだけど。


なんだか楽しそうな金髪王子の後ろ姿に、あたしはがっくりと肩を落とす。

ふわふわの茶金色の髪が、窓から差し込む太陽の光に照らされて、きらきらと輝く。

…それを見るたびに何かを思い出せそうな気がするんだけど、なんなんだろう。

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